のっけからダイビング、南の海とはかけ離れたような写真を載せてしまったたけど、初めて訪れたアンボンというダイビングスポットの私のイメージはまさにこのワンカットだった。
狭い湾から出れば、サンゴ礁も広がる綺麗な海があるそうだが、湾の中で潜る限り、そこにはいつもおびただしい数のゴミが流れていたのだった。
 
  生活ゴミ以外に船舶から流れ出た油で海面が光っていることもあった。そんな汚い海域なのに、この地でしかまだ発見されていないというサカナがここにいるのだった。しかも、まさに上の写真の海中、岸から5㍍ほどしか離れていない水深2㍍ほどの海底にいたのだった。そのサカナの名はサイケデリックフロッグフィッシュという。
このアンボンというダイビングエリアが脚光を浴びだしたのは10年ほど前(2008年)かららしい。サイケデリックフロッグフィッシュという新種のカエルアンコウが見つかったのだ。そのサイケデリックフロッグフィッシュの発見によって一躍ダイバーの注目を集めたが、一時姿を見ることがなくなった。だが数年前から再び会えるようになったのだという。「ならば逢いに行こう!」ってことで2017年のG・Wはアンボンに決定!
アンボンに私たちはジャカルタ経由で向かった。
羽田を午前11時過ぎのフライトで飛び立ち、ジャカルタには夕刻17時過ぎに到着。その日の深夜にアンボンへ向かう便もあったのだけど、ジャカルタにいる友人を訪ねるためにその日はジャカルタ泊。友人との数年ぶりの再会をし、翌朝発のローカルフライトに乗る。ジャカルタ・スカルノハッタ空港からは約4時間でアンボンだ。
日本とジャカルタとの間には2時間の時差があるが、およそ日本の那覇と同じ経度に位置するアンボンは日本と同じ時刻となる。スカルノハッタ空港近くのホテルを朝6時に出発、8時発の便に乗る。
この年(2017年)5月1日からスカルノハッタ空港は新しいターミナルがオープンした。が、アンボンに向かうこの日は4月30日。まだ国際線と国内線ターミナルが明確に分かれていたので迷うことはなかったけど、帰国時は少々まごついた。何しろダダっ広いのだ。
さて8時に飛んだ飛行機は、時差プラス2時間でアンボンには午後2時に到着。アンボンは小さな島だけど、機内は地元民の搭乗客で満席状態だった。
空港を出ると、お出迎えが私たちを見つけて飛んで来た。ところが話がどうも食い違う。ほかのダイビングショップだった。私たちが利用したショップはマルクダイバーズ・リゾート。そしてマルクリゾート&スパという施設もあって、そちらにもダイビングショップが併設されているらしい。たまたま同じフライトで日本人ゲストがいるらしく、私たちと間違えたようだ。ちなみにマルクリゾートの方が施設はゴージャスのようだ。
私たちが利用したマルクダイバーズ・リゾートは、空港ゲートを出てグルッと飛行場を回ったアンボン空港の真裏にある。目の前の海で泳ぐようなリゾートではない。滞在型というよりはダイビング重視。とはいっても部屋は綺麗で広いし別段何も問題は無い。料理も美味しいのだけど夕食はちょっと量的に物足りない。大食漢の方は絶対に足りないだろう。
コテージ風のシービュールームと、裏庭に面したガーデンビュールームがあって全10室。どちらのタイプの部屋もベッドはツインとダブルの2タイプあるようだ。値段はシービューの方が当然高いけれど、部屋でのステイ時間がけっこう取れるので、部屋での滞在を考えればシービューの方がお勧め。
シャワーは壁の固定式。お湯は溜めて温めてるのか、7~8分使ってると水になった。コンセントはすべて現地のもの(丸穴タイプ)なので日本製品用のコネクターが必要。
エアガンもあるエアコン完備のしっかりしたカメラルームもあって、さすがカメラ派ダイバー向けの施設だ。
朝食はブッフェスタイルで卵料理をその場で作ってくれる。昼食と夕食は毎日メニューが代わりプレートで出てくる。これが味は悪くないのだがとにかく量が少ない。朝のブッフェは好きなだけ食べられるけど、昼食と夕食はプレートに載せられた分だけ。若い人には足りないだろう。
バーカウンターやレセプションなど、オープンエリアには蚊除けスプレーが置いてある。蚊は多い。何日目かの夜、部屋の中のクローゼットから“カリカリ”、“ガリゴリ”と音がするので開けてライトで照らしたら小さな山ネズミが飛び出してきた。どこから入ったんだろう。
一日のスケジュールは朝食が7時から。1本目のダイビングは8時30分出発。そのまま水面休息して2本目を潜って戻るのが一般的のようだけど、時には1本目終了後そのままショップに戻ることもあった。ポイントは近くて、遠いポイントでも30分もかからないと思われる。
2本目を潜って戻るとだいたい13時過ぎ。昼食を取って3本目は午後3時30分出発となる。その後リクエストあれば(最低2名だったかな?)サンセットもナイトダイブにも連れて行ってもらえる。セルフダイビングが可能か否かは聞きそびれた。
このショップにかつてレンベで会ったスタッフが何人かいて、私たちのことを覚えていてくれた。レンベでの昔話でしばし盛り上がった。
ナイトロックス(有料)もあるけどアナライザーでのチェックはナシ。朝、その日の予定ダイブ本数分のナイトロックス・サインを求められるのだけど全て混合比32㌫と書かれてる。心配性な人はアナライザーの持参をお勧めする。貸してもくれるとは思うけど、私はダイコンの設定を31㌫にして潜っていた。まぁ、そんなに深いところにも行かないし。
ダイビングポイントの海況は刻々と変化する。湾の幅が狭いことが影響するのか、とつぜん流れ出したり水温も急に低くなったりした。その影響を受けるから、海中の透明度もとつぜん悪くなったりする。ポイントによっては2㍍も視界がきかないこともあった。2度ロストした。それでも水深が浅いので水面に出れば泡でバディの位置はすぐに分かる。
 
 
機材はカメラまでボートまで運んでくれる。ポイントに着けば機材も背負わせてくれる。まさに至れり尽くせりのお殿様ダイブだ。しかし、ダイビング初日のナイトダイブの際、いつもは機材を背負わせてくれるときに、ちゃんとバルブを開いてるか目視してるのだけど、この時は船上が暗くて見えなかった。背負わせてくれる時に「バルブは開いてる?」と聞いたらクルクル回すじゃないか。なんか嫌な予感がしたんだ。案の定、エントリーしてエアゲージを覗いたら呼吸のたびに針が動いてる! 開けてあったバルブを閉じてくれたわけだ。慌ててガイドに開いてもらった。やはり機材セッティングは自分でやらなくちゃダメだね
 【出会ったサカナたち】
【潜ったポイント】 
1日目 カンパンバル 気温:32℃ 水温:29.6℃ 平均水深:14.9m 最大水深:23.5m 流れナシ
2本目 ラハ1 気温:32℃ 水温:29.7℃ 平均水深:10.5m 最大水深:16.4m 流れ少し
3本目 ミドルポイント 気温:32℃ 水温:29.7℃ 平均水深:14.1m 最大水深:24.2m 流れ強シ
4本目 ラハ1(ナイト) 気温:29℃ 水温:29.3℃ 平均水深:14.5m 最大水深:21.9m 流れナシ
2日目 リノシティ 気温:32℃ 水温:28.7℃ 平均水深:12.4m 最大水深:29.3m 流れナシ
2本目 ジェティ 気温:31℃ 水温:28.8℃ 平均水深:8.4m 最大水深:18.8m 流れ少し
3本目 ラハ2 気温:31℃ 水温:28.7℃ 平均水深:12.0m 最大水深:22.6m 流れ少し
3日目 バツラバン 気温:33℃ 水温:28.0℃ 平均水深:13.1m 最大水深:27.0m 流れ少し
2本目 ミドルポイント 気温:33℃ 水温:29.1℃ 平均水深:11.5m 最大水深:20.3m 流れ少し
3本目 ラハ3→リノシティ 気温:33℃ 水温:29.9℃ 平均水深:9.8m 最大水深:23.7m 流れ少し
4日目 パンテパリジ 気温:33℃ 水温:29.6℃ 平均水深:14.5m 最大水深:29.0m 流れ少し
2本目 タウィリ 気温:33℃ 水温:29.3℃ 平均水深:13.3m 最大水深:20.0m 流れ少し
3本目 リノシティ 気温:33℃ 水温:29.7℃ 平均水深:2.9m 最大水深:7.5m 流れ突然に強!
5日目 バツルバン 気温:30℃ 水温:28.8℃ 平均水深:13.7m 最大水深:21.0m 流れナシ
2本目 アマハス 気温:30℃ 水温:29.1℃ 平均水深:11.3m 最大水深:17.3m 流れナシ
3本目 ラハ2 気温:30℃ 水温:29.5℃ 平均水深:14.7m 最大水深:31.0m 流れアリ!
【後記】
浮遊物や、ときには海面に油が浮かび、透明度も時に2㍍もなくなるような海だけど、潜っていて本当に楽しい島だ。私はマクロ一本で潜っていたけど、ワイドが楽しいポイントも多いらしい。
 
帰京して数ヶ月で再訪したくなってしまった。その気持ちはどんどん強くなり、結局その誘惑に勝てず帰京後2ヶ月後には次回のアンボン行きフライトを押さえてしまっていた。 (2017年6月17日記)