2009年5月。そう、今年の5月にマレーシアに初めて降り立ち、半年もたたない内に再訪だ。
前回はマレーシアの東にあるボルネオ島の更に東端、タワウの沖に浮かぶマタキングという島だった。
確かにあの時、その帰路で機上から眺めたマレーシアの街並みに、東南アジアとは思えない綺麗さに少々驚いた。シンガポールのようなイメージを抱いたのだ。「チャンスがあったらまた来たいな」という私の言葉に、
「9月にまた来るわよ」とかみさんが答えたのだった。いつの間にそんな予定を立てていたのだ?
かみさんが先の先まで旅行の予定を組んでいそうな事は薄々知っていた。しかし、何でまた続けてマレーシアなのか。
まぁ、いい。どっちにしろ何処かに行くであろう事は間違いの無いことなのだから、同じ場所でなければいいや、と、思っていたらアッという間に渡航の日はやって来たのだった。

9月18日成田空港10:30発マレーシア航空MH89便は7時間ほどで首都・クアラルンプールに到着した。日本との時差は1時間、16時45分定刻5分遅れだ。
今夜はスバンにあるホテルに泊まるのでタクシー・チケットを購入する。
クアラルンプールでは流しのタクシーも拾えるが、ボラれる事があるのでチケットを購入した方が無難なのだそうだ。
空港でチケット・カウンターに行き、目的地を告げると料金を教えてくれる。ところが私は行き先を問われて答えられなかった。今回もかみさん一任だったので、宿泊先を知らないかったのだf(^_^;)
値段が3種類あった。違いを聞いたら車のグレードが違うとのこと。一番高いのはベンツらしい。そんなもの必要ないから一番安いのにしようかとも思ったが、大した違いじゃ無いので真ん中のクラスを頼んだ。RM65(65リンギット=約1,820円)。ちなみにベンツはRM85(約2,380円)だった。
タクシーには何度か乗ったけれど、この国の運転はかなり荒っぽい。120qを越えるスピードで平然と割り込みをするし、その車間距離は1mもない。しかも最終日に乗ったタクシーなどはサスペンションもヘタってしまった超オンボロ。カーブの度にスリップか横転するんじゃないかとヒヤヒヤ。運転手は親切だったけど、空港までの80分はずっと前方凝視で疲れてしまった。



拡大図


     ※地図はマレーシア観光協会より無断借用
この日に泊まったのはサウジャナ(SAUJANA)というホテルで、ホテルには大きなプールはもちろん、ゴルフ場を隣接する立派なホテル。到着してウェルカム・ドリンクを出されるのは毎度のことだけど、私が甘いジュースなど要らないからと辞退してたら、ビールでもワインでも何でもOKだという。しかもおかわり自由だった。
ここでずっと飲んでようかとも思ったけど、お腹が空いていたのでレストランへ行った。中庭でBBQ風のブッフェをしていた。雨が降っていて蚊の総攻撃を受けそうだったので、豚の丸焼きを横目で見ながらイタリアン・レストランに入った。
料理は美味しく、ホテルもとってもゴージャスではあるけれど、私は(かみさんも)あまりこのようなホテルは好きではない。だいたい部屋からメイン・ロビーに行くのに何で5分もかかるのノダ! 広すぎて何度かホテル内で迷ってしまったではないか!
隣接のゴルフ場はチャンピオン・コースとのことなので、時間に余裕があれば1ラウンドほどゴルフでもしたかったけど、6時に起きて出発の準備をする。
このホテルを選んだのは空港に近いからだ、とはかみさんの弁。それでも、かつては国際空港だったスバン空港から8:50発のペルジャヤ・エアーに乗るためにはホテルを遅くとも7時30分には出なくてはならない。
交通ラッシュを少し心配したけど、スバン空港までは15分ほどで到着した。

スバンから目的地のレダン島までは約70分。マレー半島を横断するように東北東へ飛ぶ。
60人乗りほどの双発機・ペルジャヤ・エアーはとても綺麗な飛行機だった。
レダンには10時到着。バスに乗ってペルジャヤレダンビーチリゾートへ向かう。リゾートまでは5分ほど。この島は結構大きくて、他にも日本でいうところの民宿のような宿泊施設もあるそうだ。
そうそう! リゾートへ向かう途中、バスの窓から外を眺めていたら、空港そばの沼でワニが顔を出しているのを目撃した。この島では色んな動物に会った。
大きなトカゲ、そしてサル。このサルなどは3階の私たちのベランダにやって来て、窓を開けて入ってこようとした。重いサッシを開けられた時には流石にビビッた。テーブルの上あった昨晩のフルーツの残りが欲しかったようだ。その後、散歩してたら同じ棟の外人も2頭のサルに睨まれて怖かったと言っていた。
リゾートは広くて移動はスタッフが運転する電動カート(彼らはバギーと呼んでいた)に乗せてもらう。
部屋に入って荷物を開き、ダイビング機材を持って早速ダイビング・ショップに向かった。受付嬢の英語が聞き取り辛くてちょっとトラブルもあったけど、初日から潜る。

私たちが訪れたこの時、ハリラヤと呼ばれる断食明けの祭事があるので、日曜日は1本しか潜れない…と解釈してたのが、実は“午前中は”1本しか潜れないのだと後で知った。ドタバタしたけれど、リゾート・ダイビングゆえのアバウトさで解決。
このハリラヤは、イスラム教徒にとってはクリスマスのようなものだとアメリカ人(多分)スタッフが言っていた。前夜、リゾート施設の外からコーランが聞こえていた。
ここのダイビング・スタイルは午前2本に午後1本。
午前は8時15分にダイビング・センター前に集合し、そのまま続けて2本潜り12時頃に戻ってくる。午後は2時15分集合。ガシガシ潜るようなポイントではないので、私には調度良いダイビング・プランだった。
ダイビング用の船は大きくて、20人ほどは乗れそうだったけれど、根っからのダイバーは私たちともう一人くらいで7〜8人しかいなかった。殆どがちょっとしたアクティビティ程度に、とレンタルで潜る外人ばかりだった。
完全なバディ・システムでガイドは基本的にコースを案内するだけだ。

初日に付いたガイドは、とっても珍しい奴で、他のお客のカメラを使ってガイドするどころかずっと写真を撮っていた。しかもその客が来ないと、私が写真を撮っていたら「チッ、チッ、チッ」とばかり人差し指を立てて寄ってきて私のカメラを奪い取り、勝手に撮影しだした! どれほどの腕前かと後で画像を見たらたった1カットしかまともな写真は無かった。一応そのガイドの名前を書いておこう。Calvinクンです(^_-)  かみさんが潜行できずにおたおたしてる間に、さっさか私らを置いて先に行っちゃうし、なかなか困ったダイマスさんでした(>_<);
この海域はそこら中で元気で綺麗ななサンゴがたくさん見られた。残念ながら透視度は低かったけどその分、魚影は濃かった。

初日のダイビングを終えて部屋に戻ってきたら、猛烈なスコールに見舞われた。まるで頭の真上で轟いているような雷と風と、久しぶりにこれぞ本場のスコールッ、って感じのスコールだった。

ここベルジャヤレダンリゾートの食事は基本がブッフェ・スタイル。ブッフェはあまり好きじゃないけど、品数も豊富でまぁまぁ美味しかった。
たまたま私がミール・クーポンをみたら最終日の夕食分が無い!
かみさんは2食付きだと思い込んでいたから、大騒ぎ。レセプションに行き「ミールクーポンが1晩分足りない!」とクレームをつけたら、「そんな事は無い。合ってる。」の一点張り。部屋に再び戻って旅行日程表を見たら最終日はナシとなっていた(-_-;) 
でもブッフェに飽きてきていたので、むしろ良かった。アラカルトでもオーダー出来るし、その方が旨かった。そして値段もリゾートホテルにしては安いのだ。マレーシアは相対的に物価が安い。

マレーシアは人種のるつぼと聞いていたけど、まさにその通りで、このリゾートに来ていた人たちも千差万別だった。フランス人、アメリカ人、中国系シンガポール人、韓国人らしき団体にアラブ系の人もいっぱいいた。
お国柄そのままのファッションで歩いているからすぐに判る。上から下まで黒ずくめで目だけ出している一団=イラン人と擦れ違う時はちょっと緊張してしまった。
右の写真は、このリゾートのウェイトレスさん。日本人の私には、この格好でサーブされるのは違和感残ったなぁ。
私たちは山の中腹にあるシービュー・ルームに泊まったけど(上の写真参照)、もしもここに泊まるなら、右写真のプレミアム・スウィートかオーシャン・フロント・スウィートがお薦め。電動バギーで運んではくれるけど、メイン・ダイニングにひょこっと行くにしても面倒だった。
それと、他の部屋はどうだか分からないけど、私たちが利用したシービュー・ルームは部屋は広くて使いやすかったけど寝室とバス・ルームがブラインドだけで仕切られていた。だから、お手洗い使用中の音が筒抜け。ロートル夫婦は気にもしないが、新婚さんには絶対にお薦め出来ない。そういうのが二人とも好きなら話は別だけど(笑)。
クリックするとリゾートの眺望が見られます
また、水が豊富な国なので蚊も多かった。でもここは島なので飲料水は本土とのパイプラインで供給されている。最終日の夕刻、部屋に戻るとメッセージが残されていて「本土とのパイプラインが壊れたので無駄な水の使用を避けてください」と書かれていた。まぁ、壊れなくとも水は大切に使わないとね、特に島では。


9月19日
Batu Mak Cantek


気温:30度 水底温度:29.6度 透明度:8m 潜行開始:15時19分 浮上時刻:16時10分 潜水時間:51分 平均水深:14.8m 最大水深:18.3m 晴れ
イソバナに寄り添うアサドスズメダイ
9月20日
Pulau Kerengga Besar


気温:30度 水底温度:30.0度 透明度:8m 潜行開始:10時36分 浮上時刻:11時21分 潜水時間:45分 平均水深:12.4m 最大水深:18.0m 快晴
綺麗なイソギンチャクとカクレクマノミ ワヌケヤッコ
9月20日
Pulau Paku Kecil


気温:31度 水底温度:29.3度 透明度:5〜8m 潜行開始:15時31分 浮上時刻:16時19分 潜水時間:48分 平均水深:13.68m 最大水深:18.2m 快晴
人懐っこいツバメウオ
9月21日
Tg.Chagar Hutang

気温:31度 水底温度:28.9度 透明度:20m 潜行開始:9時15分 浮上時刻:10時00分 潜水時間:45分 平均水深:15.0m 最大水深:23.6m 快晴
どこもかしこも見事なサンゴが イガグリウミウシ(多分^^;)
9月21日
Tg.Tokong

気温:31度 水底温度:29.2度 透明度:15m 潜行開始:11時08分 浮上時刻:11時53分 潜水時間:45分 平均水深:13.4m 最大水深:21.2m 快晴
ハナミノカサゴもユ〜ラ、ユラ 安全停止の時にキビナゴの大群が



レダン島には3泊しクアラルンプールに戻った。お昼前にスバンに着いたので市内観光ツアーに参加しようとしたけど、午前中だけしか無いと断られてしまった。探せばきっとやってる会社もあっただろうけど、そこまでして見て回るような街では無さそうだったので、昼食も兼ねてトコトコ散策した。
飛行機からは綺麗に見えた街も、歩いてみれば東南アジア特有の街並みだった。シンガポールのような街かと思っていたけれど、裏通りではゴミが散乱しカラスが群れ、下水道からは悪臭が立ち上り、大きなネズミの死骸にも遭遇した。ビルは立派なんだけれどなぁ。でも、私はむしろホッとした。この方が生活感を感じられて好きだ。シンガポールはとっても綺麗な街だけど、そのような安堵感は得られなかった。
道は舗装路だけどとても狭くて、歩道はあるけど駐車車両が乗り上げていて車道に回らないと進めない(笑)。屋台街アロー・ストリートを歩けば夜の仕込みに汗を流すお母さんの姿がある。無機質な高層ビル群より生活感あふれる活気の方が、ずっといい。

確かにマーケットや屋台街をあるけば、そこら中から声をかけられ、あまりのしつこさに閉口することもあるけれど、それを楽しめないようでは旅人失格だろう。
夕刻、食事に出向いたアロー・ストリートは、まだ陽も落ちきる前から人々が集っていた。かみさんは一軒一軒チェックしながらお店を決めたかったようだが、声をかけられるのは当然のように男の私だ。現地通貨はかみさんが持ってるので、「わたしはお金を持っていないよ」と言っても信じてもらえない(当たり前か)。
腹が減ると私は機嫌が悪くなるので、かみさんの希望を裁ち切り、早々に店を決めさせてもらった。
エイのグリル、赤貝のような貝のニンニク炒め、中国菜の辛い炒め物、エビと鶏肉の良くワカラン料理。そしてビールを4本ほど飲んで3000円しなかった。味も文句なしだった。
きっとちゃんと調べれば、もっと美味しいお店があったのかもしれないけど、私たちは充分満足した。
ホテルに戻る帰り道、マンゴスチンを売っていたので買って帰ろうとしたら、1sでRG10(10リンギット)=約290円だと言う。そんなには食べられないからRG2で2個買った。美味しくてアッという間に食べてしまった。ケチくさいことしないで1s買っときゃよかった。

【後記】
1年で二度もマレーシアを訪れるとは思わなんだ。だが、マレーシアはリピーターが多いというのも納得できた。
5月にシパダンでのダイビング目的でマタキング島に行ったときは、その豪快なまでの自然に魅せられ、それがこの国の魅力だと思っていた。今回、スバンやクアラルンプールなどの街を散策して、この国の魅力は他にもあることを知った。レダン島では「あら、お宅もこちらに?」などと、まるで近所の人達がひょっこり出会ったような会話も耳にした。現地の人からすれば、東京からヒョイッと八丈島に飛んで週末を過ごすような気軽さだ。そんな気軽な場所にワニやサルが生息する島があるのだ。身近な自然。これこそ、私たちがこれからの子供たちに残すべき財産だと思う。   (2009年9月・記)