昨年はハワイ島のキラウエア火山を訪れ、海に流れ落ちモウモウと蒸気をはく溶岩を双眼鏡で眺められました。
けれど、この島・タンナ島は火山口まで登って眼前で火山の爆発を観ることが出来るのです。
少し恐い気もするけれど、恐い物見たさで火山を観るためだけに、この島に渡ってみました。
それともう一つ。島に電気がない…というのも気に入りました。電気がなければクーラーも無いってことで、少々不便はするだろうけど、大音響のBGMが浜辺に流れているような場所は好きではないのです。
真っ赤な火山の爆発と、満天の星空に期待は膨らみつつ……、そしてその期待は裏切られませんでした。
写真は花火ではありません。火山が爆発した瞬間です。

タンナ島のこのヤスール火山は、島の南南東に位置していて、島の西側、私たちが宿泊したロッジ・エバーグリーンからはランドクルーザーで90分ほどの道のりです。

火山は常に爆発を繰り返しています。地元の観測所で毎日チェックし、レベル1からレベル6まで、その日の爆破の大きさが発表されるのだそです。
確かレベル5を超えるとヤスール火山への登山は禁止になる…と聞いたように記憶します。

私たちが訪れた日はレベル3でした。それでも、最初に目前でド〜ン! という音と共に火を噴かれた時には思わずのけ反ってしまいました。

火山の爆発は日によってまちまちなのでしょうが、私たちが行った日は、およそ3分に1回ほどの小爆発を、10分に1回程度の大爆発を観ることが出来ました。
タンナ島を訪れる前、日本のバラエティー番組で、この火山の溶岩で焼き肉が焼けるか挑戦する…というバカな番組をやっていました。何でオチャラケるのかなぁ? その話を地元の人間に話したところ、数年前に別の島で、バンジー・ジャンプの取材があり、その時もタレントがおふざけをして、以来取材拒否になっているそうです。
これだけの迫力のものを、何故わざわざおふざけ番組にしてしまうのか、日本のテレビ局の制作意識の低さにホトホト呆れ返ってしまう。

この後ホテルへの帰路、この日は運良く新月で空は満天の星空でした。
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ヤスール火山を望む 移動はランクルで ヤスール火山北側 火山灰の紋様 火山麓にあったポスト
※一部の画像はクリックすると拡大写真が見られます
タンナ島は動物も多い。到着しホテルに向かう時に、野生馬の群と遭遇。宣教師が連れてきた馬が野生化し繁殖したそうです。鳥の種類と数も多く、ホテルのベランダに居れば手の届きそうな所まで 小鳥がやって来ます。
道路は未舗装です。左写真は投宿したロッジ「エバーグリーン」の入り口前です。この先、20〜30分ほど歩くとレストランもあるようですが、誰が利用するのでしょう?
ロッジ「エバーグリーン」の部屋です。各部屋は独立したコテージタイプです。自家発電停止後の夜間トイレは手動自家発電機を使用して用を足します。
オーシャン・ビュー指定だったのですがロッジの前はうっそうとした
原生林。海は見えてもジャングル・ビューでした(~_~;)
右はバヌアツのローカル・ビール“タスカー”です。味はまぁまぁ…かな。小瓶でも日本円にして400〜600円取られます。ワインの方が安いです。

エファテの子供たちも可愛かったけれど、タンナの子供たちは本当に可愛かった。みなとても良い笑顔を見せてくれました。
私が手を挙げると、すかさず返してくれるし、時には物珍しそうにニコニコしながら寄って来たりもします。

ここ数年、日本でこんな素敵な笑顔を見せる子供に会っていないなぁ。

「子供の頃はとっても可愛いのに何故、大きくなるとあんなに
なっちゃうのかしら」と呟いた現地在住の人がいたけれど、私は大人も皆フレンドリーで素晴らしいと感じました。

海辺で、遊び道具は何も無いのに、写真のように嬉々として遊べる子供が、果たして日本にどのくらいいるでしょう? 

くだらないテレビ番組に毒され、創造性のかけらも無いテレビ・ゲームでしか遊べない子供たちは、本当に可哀相です。

政府が生活費を援助し、昔ながらの伝統を守るよう指導しているという島の部落も訪問してみました。

昔ながらの生活を見せてくれるのですが、実際にはその様な暮らしをしているわけではなく、伝統継承しているだけだそうです。
木切れと椰子の繊維で簡単に火を熾せるといっても、日常ではマッチを利用しているそうです。そりゃそうですよね。
昔ながらの朝食も用意してくれましたが飲食するには少々腰が引けました(^_^;;; すこ〜しだけつまませていただきました。
村の入り口で出迎えてくれた家族 彼らが生活する家 雨水を溜めて生活水に
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朝食を用意してくれたけれど…… ダンスを披露してくれた お母さんも姉妹もお化粧をして

エファテ島でも後に出てくるサント島でもマーケットと呼ばれる青空市場が開かれています。
その中でも、ここタンナ島のマーケットが一番印象的でした。
まずはロケーション。エファテもサントも専用のエリアが人工的に造られていたけれど、ここタンナ島は完全なる青空市場。
店を開くお母さん達は、商品を並べて日陰で談笑、その子供達は気まま
に遊んでいる。売られている商品も、野性的です。タロイモや椰子の実などの野菜や果物と一緒に、生きてる鶏や子豚が紐で縛られて一緒に売られていました。
ちなみに右下写真の子豚は、この後、わたし達と一緒にポートビラまで飛行機で運ばれていきました。空港ロビーに転がされた子豚の「ブヒ〜! ブヒ〜!」という悲鳴がずっと聞こえてました。
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商品を地べたに並べ自分達は木陰に 野菜などの傍らに鶏も 子豚も観念して目をつぶってます
タンナ島で何が見れるの?…と聞かれれば、ここで紹介したヤスール火山と部落、あとはホワイトグラスと呼ばれる、白い草の牧草地くらいしかありません。でも、わたし達にはそれで充分でした。火山の爆発は1回見れば充分でしょうけれど、子供達の笑顔と数多くの小鳥たち、満天の星空は何度見ても飽きません。 ハエは多いしダニもいるし、電気がなくて確かに不便ではあるけれど、余りある驚きと安らぎを与えてくれた島でした。
近日中にロッジ「エバーグリーン」内にてダイビング・ショップもオープンするそうです。素晴らしいダイビング・ポイントが見つかれば、ますますタンナ島の魅力は大きくなるでしょう。